子育て・保育を取り巻く状況

 近年、少子化・核家族化が急速に進み、地域や家庭で子どもが育っていくことが難しくなっています。このような社会情勢の変化に対応して、国においては児童福祉法や、保育指針の改正が行われ、保育園の機能として保護者への子育て支援が位置づけられました。
 また、京都市においても、保育の質の向上と保護者のニーズに合った利用しやすい保育園への対応を民間保育園に求めています。
 このため、京都社会福祉協会では、職員研修の充実などに取り組んで来ましたが、時代の要請に即して保育方針を見直し、傘下の保育園が新たな方針のもとに、保育を実施することを目指すものです。

保育の目標

 子どもが将来に夢を持ち、その幸せに向かって歩み、将来、社会の一員として生活できるよう援助し、現在を最もよく生き、未来を切り開く力を培うことを目標に保育を行います。
 子どもが、主体となる環境の下で、くつろいだ雰囲気の中で過ごし、情緒の安定を図り、基本的な生活習慣や、自主、自立、他者とともに生活する協調の態度を養います。
 また、様々な活動を通して、自然や社会への興味や関心を育て、豊かな感性や表現力を育みます。

保育の方法

保育の目標を達成するために、次のことに留意して、保育を進めます。

①子ども一人ひとりの心に寄り添い、保育士の温かいまなざしの中で、子どもが安心感と信頼感を持って活動できるようにし、その中で自己肯定感が育つように努めます。
②子どもの生活リズムを大切にし、一人一人の発達過程に応じた保育をします。
③子どもが自発的、意欲的に関わって遊べるように環境を構成し、子ども同士の主体的な活動や子ども同士の関わりを大切にし、子どもが仲間と伝えあう楽しさを味わえるように配慮します。
④自分で考える力を育む環境を整えます。
⑤自然との触れあいを大切にして、豊かな感性や表現力を培い、全身を動かして体の諸機能の発達を促します。
⑥自然に異年齢の子どもと関われるよう配慮し、乳児においては、可能な限り決まった保育士が関われるように努めます。
⑦新しく入園する子どもについては、子どもが安定感を得て、保育園になじめるように配慮します。

保育の計画と評価

 すべての子どもが、安定し、充実した生活が送れるよう、柔軟で発展的で一貫性のある保育課程と指導計画を作成し、保育士等は共通認識を持って保育を進めます。
 指導計画を作成するにあたり、障がいのある子どもも障がいのない子どもも、適切な環境の中で、共に育ちあう保育を目指します。長時間の保育においては、情緒の安定に配慮します。
 保育士等は保育実践を振り返り、自己評価を通じて、その専門性と保育の質の向上を図ります。
 また、保育園は、保育士等の自己評価を踏まえ、自らを評価し、保育の内容の向上を図ります。

子どもの健康と安全

 子どもの健康・発育・発達状況を把握し、保健計画により健康の増進を図ります。温度・換気・採光などの環境を常に適切な状況に保ち、嘱託医等と連携し保育室の衛生管理、感染症予防を図ります。
 子どもに疾病や傷害が認められる場合は改善に努め、不適切な養育が認められる場合は関係機関と連携し、虐待が疑われる場合は児童相談所に通告し、適切に対応をします。
 子どもを災害や事故から守るため、防災対策や避難訓練を実施します。
乳幼児期にふさわしい食生活が展開されるよう、食育の計画を作成し、子どもが意欲を持って食に関わる体験を積み重ね、食事を楽しめるように配慮します。
 また、離乳食や体調不良や食物アレルギー、障がいのある子どもなど一人一人の状況に応じた、きめ細かい対応をします。

保護者に対する支援

 保育士の専門性を生かした保護者への子育て支援が、保育園の重要な業務であることを認識し、入園中の子どもや地域の子育て家庭への支援を積極的に行います。
 保育園に入所中の子どもの保護者には、秘密保持に留意して、保護者の気持ちを受け止め、子どもと保護者の安定した関係に留意して保護者の養育力の向上を目的として適切に支援します。
 地域の子育て家庭には、保育園の開放などを行い、子育て支援に関する情報提供や、交流の場の提供、相談援助等を行います。

職員の資質向上

 子どもの最善の利益を考慮し、子どもの人権に配慮した質の高い保育を展開するため、保育士等は、研修等を通して専門性を高め自己研鑽に努めるとともに、子どもと職員、保護者と職員、職員同士の信頼関係を形成します。
 また園長は、保育園の役割や社会的責任を果たすため、法令等を遵守し、専門性の確保に努めます。

京都社会福祉協会 保育方針(PDF)